第5章

莉央視点

学校が始まって二週間。この朝の日課は、いまだに覚めたくない夢の中にいるような気分になる。長いダイニングテーブルに座って、慎重にベーコンを切っていると、山崎叔父さんがコーヒーカップを置いて、まっすぐ私を見つめてきた。

「莉央、こっちに来て隣に座りなさい。学校はどうだ? 誰かに意地悪されたりしていないか?」

私のナイフとフォークが宙で止まる。叔父さんを見つめている間、ベーコンはただぶら下がったままだ。山崎叔父さんは、前の人生では見たことのない眼差しで私を見ている。本当の心配。守ろうとする、そんな眼差しだ。

「順調です、叔父さん。みんな、とても親切にしてくれます」

叔父さ...

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